53歳フリーランスのリアルな暮らしのwebマガジン

ちくわ天を
バカにする男
vs
意地でも
奢らせない
オンナ

2025/12/17

ちくわ天を食べるとあの戦いを思い出す。

あれは、あたしがピッチピチのまだ少しだけウブかった時のこと。
何度もしつこくご飯に行こうと誘ってくる、合コンで知り合った男の人がおったんよ。
断っても断っても、「いつなら空いてるん?」とお誘いメールが止まらない。
あーー、いやだ、し、つ、こ、い、ねん!
断るのも面倒になってて、気づいたら待ち合わせの約束をしてしまってた。

顔すら覚えていなかった彼と100%社交辞令だけの挨拶をして、歩き始めた。
自転車置いておけば、と言われたけど、その提案を無視してあたしは乗ってきた自転車を押し続けた。

ん?どこに向かってるん?同じとこ回ってるやん?
どんだけ歩くん?もう歩き疲れてきたんやけどー。

「どこ行くのーー?」
返ってきた彼の言葉にあたしはひっくり返りそうになった。
「決めてないねん!」

ひー!なんやてーーーー!!
あんなに誘ってきたのに?
あの熱意は何やったん?
予約してないんはまぁいいわ、許しといたるわ。
しゃーけど、お店くらい考えといてくれてもいいんちゃいますのん????

「ここは?この店入ろ?」
何をこだわってるのか知らんけど、どのお店も違うらしい。

何回か通った道で、呼び込みのお兄さんの「何杯呑んでもビール290円!」の声に、
「ここにしよか?いい?」
いいも何も、やっと座れる、やっと呑めるー!
助かったぜ、お兄さん!

なんやかんや注文し終わったときに、彼はニコニコしながらこう言ってきた。
「ちくわ天好きなん?安くつくオンナやなー!」

え?安くつく女言うた?あたしのこと?
ちくわ天注文したあたしは安くつくオンナなん??

熱心に誘ってきたのに、店も決めず探してもなくて、散々歩かせてビール290円の呼び込みに吸い寄せられた男に「安いオンナ」言われてる?
きーーー、ムカつく!290円ビール男に言われたくないんじゃーー!

絶対この人のこと好きならへんわ、だってもう嫌いやもん、と思いながらも楽しいフリをするあたし。
今やったら「もう、帰るわー」言うてるかもしれへんわ。

店員さんの「お時間ですー。」の言葉で、待ってましたのお開きがやってきた。
やたーー!やっと帰れるぜー!
最高にHAPPYやー!今日イチ、ウキウキするぜ。
あかんあかん、ニヤけたらあかん、バレちゃうわ。

ヤツは伝票をサッと取って「ここは奢るよ。まかせといて!」と、ちょっとイキっていらっしゃる。
いや、ちょっとではないな。
めちゃめちゃドヤ顔してはる。

てか、なんやて?
ここは??2軒目なんて行けへんけどな!
せやし、絶対にあんたにご馳走されたくない。
こっちが奢るからもう先に帰って欲しいくらいやわ。

ヤツは「いいよ、ほんまに」言いながら、まだ椅子に座っている。
払うのか払わないのかどっちやねーーん。

そんなとき、あたしは見つけた!これや、これで割り勘や!
「ほな、これ受け取ってー。これやったらいいやろ?受け取りやすいやろ?」
あたしは割り勘分の商品券を差し出した。

ヤツは拒否することもなく、商品券をすぐさま受け取った。
受け取るんかーーーーーい!!!
あんた、今ちょっとニヤってしたやんな。
あたしは見てたでー。

せやけど、耐えたー!これで割り勘やー。
あたしは勝ったぞーー!割り勘にすることに成功したんや!
こうしてあたしは勝利をおさめた、ことにした。

あんなー、ちくわ天をバカにしたらあかんでーー!
ちくわ天はご馳走なんやー!

店を出た瞬間、あたしは店前に停めてた自転車でトットと帰りましたとさ。
もう会うことない思うわ!ほなねー、さようならーー。

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ikeko

おひとりikekoです。1972年生まれ、都内在住の53歳です。ひとり暮らしをしながら、フリーランスのweb stylistとして活動しています。50代のおひとりさま向けのwebマガジン『おひとりikekoの過ごしかた。』を運営しています。同世代の女性たちとゆるっと繋がれたら嬉しいです。